3月31日 Romance scam(またはFraud)というネット犯罪が増えている。日本では、ロマンス詐欺とか恋愛詐欺と呼ばれる。日本版ウィキペディアにも掲載(初版2013年)されている。アメリカでは10数年前から増加傾向にあり、社会問題化している。数年前から日本でも被害が増え、その実態が顕在化してきたようである。あることが契機で、この問題に興味を持ちネットで調べた。
※30年前の「419詐欺事件」(ナイジェリアの手紙)を思い出した。
NPO法人「M-STEP」で2018年5月から12月にかけて、詐欺被害を受けた人510人を対象に緊急アンケートを実施。その結果は、金銭被害があったのは142人(女性が9割)、被害にあった平均金額は442 万円。最高被害金額は、5400万円だという。これは3年前の話で、いまは被害者数も被害額ももっと多いのだろう。
実は三日前に、海外在住女性からのfacebook友だち申請5件を承認した。普通は、友だちの友だち、その紹介、あるいはネットコミュニティで知り合った人かどうかを軽くチェックして、全く関係ない場合は即削除する。(昨年までは放置)
Facebookにまたアクセスするようになったからかも知れないが、海外からの友だち申請が3日で5件もあるのは異常である。どこで私の名前を知ったのか?なぜ私を選んだのか?なぜ友だちになりたいのか?その目的は…?など疑問が湧き、彼女たちは何を仕掛けようとしているのか気になった。というかfacebookも業者が入り込み、出会い系サイトみたいになったのかと、久しぶりに好奇心が刺激され、承認したというわけだ。承認するや立て続けにメッセージが飛び込んできた。
ちょうどその日は雨で家にいたため時間があった。久しぶりに英語の勉強でもするかというノリもあった。五人のうち三人は外国人(シリア、ダラス、ニューヨーク)、二人は海外(シドニー、バンクーバー)在住の日本人である。ニューヨーク在住の女性(整形外科医だといっている)は、Google翻訳を使って日本語メッセージを送ってきた。海外在住の日本人は現地で生まれ育ったといって、たどたどしいというかちょっと変な日本語テキストを送ってくる。
最初から「ロマンス詐欺」かもと疑ってチャットするのは失礼なので、紳士的に「どうして私を知っているの?共通の友だちは?なぜ私を選んだのか?、友だちになる目的は?、どんな関係を望んでいるの?生まれ育ちは?どんな仕事をしているの?」などと質問し、相手の素性、意図を引き出す。もちろん、彼らのプロフィールや交友関係、写真や投稿内容を調べ、名前、出身校、在住都市、趣味などから不審な点がないかをチェックする。何度かチャットするうちに彼らの本当の顔がうっすらながらも分かってくる。それも面白いものだ。
五人のうち三人は恋愛詐欺型、残る二人は資産相続型の疑いが濃厚である。他には何故かアラブ(特にドバイ)の銀行家が頻りに友だち申請してくる。こちらはナイジェリアの手紙の変形型である。
しばらく遊んでみようと思う。詐欺だと分かれば通報し、ブロックすればよい。この数年間でfacebookもずいぶん進化した。友だちだけに公開、友だちの友だちまで公開といったざっくりした交流関係だけでなく、付き合い方(投稿や共有した関係をどこにどこまで表示するか)も設定できるようになった。
さらにメッセージのやり取りをロボットが監視して、詐欺の疑いがあると判断したときは警告するという機能もあるのには驚いた。詐欺を防ぎプライバシーを守ることがSNS運営者の大きな責任だということである。
- 国際的詐欺事件について(注意喚起)、JETRO 2020年9月更新
- 特集:犯罪のグローバル化と警察の取組み(pdf)
- ロマンス詐欺 - Wikipedia
- ストップ!国際ロマンス詐欺
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その後の顛末
この写真はScamer容疑の疑いが濃厚なWilss Beety(偽名)のプロファイル写真である。ネット検索するとピタリと一致する盗用写真があった。Miss World 2014のRolene Straussである。
できすぎたキャリアの女性が、facebookで見知らぬ人間に友達になってくれと誘うだろうか?おまけに盗用写真の身元が割れた!
"You are the winner of Miss World 2014. I encourage you to be honest." とメッセージを送ったら、効果覿面で即消えてしまった。友だち削除だけでなくfacebookプロフィール(右上の画像)もなくなった。もちろん、また偽名と盗用写真を使って現れるだろう。詐欺の一歩手前まで実行させてやって、証拠を固め、現行犯で逮捕するしかない。
いま私に手助けできることは、プロフィールが怪しい、同じ人物らしきプロフィールが複数ある、写真が盗用されている。プロフィール写真とfacebookページの写真が同じで名前が全く違う……といったことを通報することくらいである。
左の画像はHamma Adamu Mayos(偽名)のプロフィールである。ダマスカス大学出身で現在UN契約の看護師をしている。数週間後もしくは数か月後に日本に行く予定だという。プロフィール、投稿内容、交友関係(ゼロ)などをチェックするとやはり詐欺師臭いので、「いま何をしているの?」と聞くから、いきなり「Investigating a romance scamer and Nigerian Letter」と返事してやった。
実は、彼女(男かも知れないが)のプロフィール写真とまったく同じ写真が、facebookページに使われており、ページで使っている名前は Caroline larocque だった。どうせどちらも偽名だろう。