5/29/2009

著作権と引用先へのリンク

他のサイトの記事に触発されてブログを書くことがある。そのとき、そのサイトに掲載されている画像や動画を引用する場合、著作権侵害にならないかに注意する必要がある。基本的に、自分が書く記事を補足したり、分かりやすくするために引用することは著作権法上問題はないと考える。

TV録画したビデオだけをそのままYouTubeに投稿すると著作権侵害に相当する。しかし、そのことを知っている人は少ないし、知っていても友人に教えてやりたい、みんなの参考になるからという理由で投稿することが多い。

YouTubeは無法地帯?

著作権のことなど意識もせずにアップロードしている人がほとんどである。そのためYouTubeは無法地帯だともいわれ、著作権者たちの批判の対象になってきた。Googleが買収した後、著作権侵害に関する警告が徹底されるようになったが、著作権侵害に当たるかどうかの判断は素人には困難である。

デジタル放送の番組ではコンテンツIDが付加されているため、それを自動的に認識して「無効化」または「強制削除」できるようになった。これを使ってNHKは、自動削除しているようだ。

すべて自動削除されるわけではない。たとえば数ヶ月前に三回に分けて放送された「女と男」は、全国民が関心を持つと思い、10分以内(YouTubeの制限)に分割してアップロードしたが、削除されたものと有効なものがある。人間が目視チェックして作業しているのかもしれない。

民放が放送した番組の場合、削除されることはなかったが、最近になって「テレビ朝日」だけが削除されるようになったようだ。海外の番組では、「第三者のコンテンツと一致している」と警告されることがあるが、動画は有効である。

NHK総合テレビ番組の公共化

NHK総合テレビで放送した番組を録画して、その一部を投稿するとすべて著作権侵害として削除されるのは、法的問題はさておいて、納得がいかない。公共放送であり、視聴者は受信料を支払っている。税金と同じである。見たかったが見逃してしまった人やその番組が放送されたことを知らなかった人にとっては、動画共有サイトでいつでも視聴できるのはありがたいことだ。

「見逃して、録画もしていなかったので、YouTubeで探してみます」という人がいる。そういう人たちのために・・・という配慮や寛容さを公共放送は無視していいものか?受信料を払っていない人もみるからダメだ・・・という狭い心なのか?

教育・啓蒙番組についてはもっと寛容であってもいいのではないか?10分以内という制限での動画は、有効な宣伝にもなる。有料の「オンデマンド」のお客を増やす一助になるはずだ。それともオンデマンドの商売の邪魔になるとでもいうのか?

頭の固いお役所体質のNHK経営陣は、そういう寛容さやマーケティング手法に思いが至らず、「オンデマンド」ビジネスを阻害する要因だと考えているのかもしれない。NHKが放送した番組の著作権をすべて保有しているわけではないから、法に準拠して「著作権を保護」することに愚直に対応しているだけか?

民放と広告スポンサ

広告がカットされると困るだろうが、一度放送した番組を視聴者が動画共有サイトに投稿するのは歓迎していいはずだ。視聴者の対象を何万倍にも広げることになるからだ。その番組の存在さえ知らなかった人や見逃した人にとってもありがたいことだ。

三年ほど前だったと思うが、民放の制作に携わる人や広告スポンサ企業の人が、YouTubeを積極活用しようと考えるようになったと報道されていた。時代の流れにのることができる、頭の柔らかい人たちだと思った。とくにテレビ離れの進んだ若者向けの番組は、積極的にネットで放送することを考えないといけないのは自明の理であるが、そのことに気が付かずネットを目の敵にしているだけのテレビ業界の人が多いときだった。

著作権保護にばかり目がいって、著作物を活用することを忘れてしまう人が多い。保護だ侵害だといって公開を制限ばかりしていたら、著作物そのものの価値もなくなってしまう。だから、付加価値のある著作物で、第三者の著作物を引用することを法的に許しているのだと思う。

個人ブログでの著作権

個人が書くブログ記事での引用で、著作権侵害だと騒ぐのはある意味で大人気ない、みっともない話かも知れない。著作権侵害だと騒ぐのは、著作権者の名誉を傷つけたり経済的損害を与えたりするときだろう。一般人のブログがそれほどの影響力を持つことは稀であろう。

一般大衆が個人として、無知であるがゆえに著作権を侵害していたとしても、経済的な損害をあたえることはないだろう。むしろ宣伝してもらったと著作権者は喜ぶことのほうが多いのではないか?もちろん、個人といえども引用した著作物の出典を明記すべきで、それが礼儀である。しかし、私も含めて出典を明記することを忘れることも多いので気をつけるべきだ。

引用先へのリンク

日本と海外のサイトの大きな違いのひとつは、海外ではリンクフリーが当たり前なのに、日本人は「勝手にリンクするのはお断り」と書く人がいることだ。了見が狭いと思う。ネットの情報は公開が原則で、公共財とみなされるのが一般的ではないか?著作権が存在するのは当然だが、不特定多数の人に公開しているわけだからリンクし合うのが普通だと思う。

ただし、引用する画像や動画のURLを指定して自分の記事の中に貼り付けることは避けるべきである。画像・動画が存在するサイト(サーバ)のリソースを直接使うことになるからだ。他人のリソースを無断で使うことは許されない。もちろん、Flickr, Picasa, YouTubeなどの写真・動画を無断・無料で自分の記事の中に埋め込むことは許されている。それを許すことで共有サイトの存在をあまねく知らせることができ、サイトのユーザを増やすことができるからだ。

YouTubeに限らず、Yahoo!やGoogleその他サービスプロバイダがガジェット(ウィジェット、ブログパーツ)をサイトに埋め込むことを許しているので、それ以外の個人や企業のサイトにあるものも埋め込んでしまうことがある。

URLへのリンクは自由でよいが、object/embedあるいはiframeタグを使って第三者の著作物である画像や動画を埋め込むのはどこまで許されるのか?これがよく分からない。