6/29/2021

なぜ五輪は決行されるのか?

パンデミックの最中になぜ大会が開催されるのか?「喜びのない日本の五輪」(WSJ2021/6/13)と評される大会を開催する意味はあるのか? BBCの解説(2021/6/26)が、主観なしに客観的に公平に淡々と伝えており、分かりやすい。以下要約である。

これは政治とカネの話

IOCの東京五輪決行への熱意は理解しやすい。「五輪はビジネス(収益手段)」だから。放映権(IOC収入の73%)やスポンサーシップを合わせると約60億ドル(6600億円)に上る。

NIKKEI ASIA(2021/5/29)によれば「現状では数億ドルを肩代わりしない限り東京は大会開催から逃げられない。」

日本政府にもこのまま開催したい理由がある。準備に巨額の金額を費やし、中止すれば巨額の経済損失が出るのも分かっている。

政治的理由もある。五輪後の総選挙のために支持率を伸ばしたいという思惑があるのかもしれない。[菅総理はただ政局を有利にするため?首相を続けたいため?]

アスリートの視点からも、中止すれば何千人ものアスリートたちの努力が無駄になるという理由がある。

しかし、すべての理由の前に立ちはだかる最大の問題がある。COVID-19である。

新型コロナ禍

日本の感染者数は5月半ば以降は全般的に減少傾向にあるのは比較的良い知らせだが、東京では依然として1日400人以上が感染している。

東京医師会の会長によれば「安全な大会開催にはこれを100人未満にする必要がある」という。

また、少なくとも1回ワクチンを接種した人は19%で集団免疫レベルが低い。それに加えて新しい変異株の脅威もある。

橋本五輪組織委員長は「これ以上ないコロナ対策を講じるんだと国民に分かれば開催をしていいという理解に変わる…」という。

たしかに世論は変わりつつある。しかし、それは五輪精神というより諦めの境地かもしれない。

正しい選択は

五輪開催は避けがたいように見える。しかし、これが正しい選択なのか疑問がまだ残る。東京五輪がパンデミックにどう影響するのか、予測できない事態になるリスクもある。

実際にどうなのか、まもなく判明する。