6/10/2021

文明の生態史観

文明を語るときに外せない名著。梅棹忠雄(1920-2010)が人類学研究のために中央アジアを旅して気がついた。東洋と西洋というわけ方は意味がない。ユーラシア大陸(第二地域)とその両脇(第一地域)に分けて文明論を展開した。大陸では古代から異民族の侵略があり、数多の国々の興亡があり、現在も続く。両端のイギリスと日本には、古来から続く文化、伝統が残る。守るべきものがある。それが保守主義の源流となっている。

地政学にLand PowerとSea Powerという考え方がある。大陸の戦乱地域を抑えたのがLand Powerである。その支配から免れているのがSea Power(島国の日英)、つまり保守思想(古いものを守っていく考え方)はSea Powerの理論である。

大陸では絶えず民族の興亡がある。新しい支配者は古い社会を暴力で破壊し、ゼロから設計して創っていくから、保守思想は生まれない。それは、独裁につながり、統制経済になり、個人の自由が抑圧される。

共産主義は大陸でひろがった。典型的なLand Power思想である。

日本は戦後急速に欧米化して、日本の古い文化を壊してきた。グローバル化とは、Land Powerが海を越えてSea Powerを支配することである。金融証券、情報産業はその典型である。

大陸スタンダードに合わすことを再考する時である。

いま日本人は何を守るべきかを考え実行することを求められている。昭和後半から言われるようになった平和ボケ、そして近年のゾンビ化社会から抜け出すべきである。

これを守っていこう!
これを伝えていこう!
facebookページ「現場・現物・現実・原理原則」21/0608より