今日、6月10日は「時の記念日」~
1920年(大正9年)に生活改善同盟会(伊藤博文会長)が発足し、日常の生活改善の十項目として第一に「時間を正確に守ること」を掲げ、時の記念日を制定した。6月10日が選ばれたのは、「日本書記」に671年の4月25日(グレゴリウス暦671年6月10日)に漏刻と呼ばれる水時計を新しい台に置き、鐘や鼓で人々に時刻を知らせたと記述されていることに由来する。※右図は近江神宮(天智天皇を祀る)が引用している桜井養仙『漏刻説』掲載の漏刻図(享保17年=1732年)
当時欧米の先進国から「日本人は時間の感覚に乏しい」とみられていたことから、時間に関心を持ち、規律正しく効率的な生活を習慣化する啓発の意味があったといわれている。戦後は、世界各国の見方は、日本人ほど几帳面で時間に正確な国民はいないと評価が逆転している。
大正時代までの日本には「時間を管理する」という概念がなかったのだろうか?「時間の感覚に乏しい」と見られていたとは知らなかった。江戸時代の庶民の暮らしを描いた書物や絵画から想像すると、昼夜の別なく働く現代人に比較すると、時間は自然の中でゆったりと流れ、おおらかに暮らしていたのかもしれない。
時間は大切だとだれしも思うことだろう。有限の人生を楽しく幸せに生きるために時間を有効に使おうとも思う。しかし、まてよ?時間を有効に使えば幸せになれるのか?有効に使うとはどういうことか?どう使えば有効だと言えるのか?いろんな疑問が湧いてくる。
時間に関することわざには「光陰矢の如し」、「歳月人を待たず」、「急がば回れ」などいろいろあるが、いずれも「時間を大切に使うこと」を戒めている。誰もが聞いたことがある有名な言葉に「時は金なり」という格言がある。この語源は「Time is money」~英語の翻訳である。原語は、ベンジャミン・フランクリンが事業家(ビジネスマン)に向けて諭した言葉だと言われているそうで、日本語の意味合いと少し違う。
時給1000円の仕事を7時間働けば7000円稼げるのに、遊びに1000円使って7時間過ごせば、8000円を失ったことになる。つまりTime is money とは機会損失のことを言っている。日本人の気質には、何でもお金で測るのは浅ましいという考え方があるため、時間は金だと直截的な言い方、見方には違和感を抱く人もいる。
ところで、時間に関することわざ・格言で、"自分もそう思う"ものを聞いた調査(出典: ネオマーケティング2013)がある。
上位に「時は金なり」、「思い立ったが吉日」がくる。いずれも「今すぐやれ!でないと金を失うぞ!」といっているようである。昭和の時代の思いはどうだったのか知りたいものだ。「早起きは三文の徳」とか「光陰矢の如し」が意外と上位になったかもしれない。