June 02, 2017

高血圧とタバコ

タバコを吸わなくなって4ヶ月経った。吸いたいと思う瞬間がたまにある。山道を歩き、見晴らしのいいところで一服したときなどである。お茶やタバコを呑んで一休みすることを「一服する」という。一服するかと思って立ち止まったり、腰をかけたりすると、そんなときにタバコに火をつけた過去の記憶が蘇って、タバコを吸いたくなるのである。しかし、そんな欲求はすぐに打ち消せるようになった。


「吸ったら死にますよ」

…という医者のコトバが脳裏に蘇るからだ。
入院前まで、毎日60本も吸っていた。普通のタバコよりひと回り小さいサイズで、1本当りのタールもニコチンも最小(1mg, 0.1mg)だから、昔吸っていたタバコ換算で数本しか吸っていないことになると、言い訳をしていた。

「タバコは体に悪い」

そんなことは百も承知で吸い続けていたガンコ者。人に言われて止めるのは意志が弱い証拠、俺は意志が強いから止めないと嘯く男。どうしようもなかった。

喫煙が肺がんなどの原因になることは知っていた。肺気腫の一番の原因がタバコだということは数年前に先輩が肺気腫で亡くなったことから知った。肺気腫の治療の第一歩は禁煙からである。

喫煙が高血圧の原因であることは意識もしなかった。自分の血圧が高く、それがどんな結果を招くかも意識していなかったのだから、それは当然のことだった。入院してICUで治療を受け、一般病室に移されても10本もの管につながれた状態ではタバコを吸う気も起こらなかった。

「タバコを吸ったら死にますよ」という医者のコトバは重かった。大動脈解離発症前に聞かされていたら禁煙しただろうか?吸い続けていたと思う。実体験がないと信じるのは難しい。そんな過去の自分を戒め、二度と喫煙しないために「高血圧とタバコ」について学習している。

タバコは血圧を上げる

喫煙それ自体が心筋梗塞など命を脅かす怖い病気の直接的な原因になることが分かっている。1本吸っただけで、血圧が10~20mmHg上がると考えられている。しかも15分以上上昇した状態になる。一日60本も吸うということは、ほぼ15分に1本吸っていることになる。つまり、血圧がつねに10~20mmHg高い状態が続くということである。

1日中血管を痛めつけており、しかも血栓をできやすくしているのだから、血管がボロボロになってもおかしくない。それが目に見えないから、その怖さを実感できないという厄介な問題である。

虚血性心臓病とタバコ

虚血性心臓病とは、冠動脈が動脈硬化などによってつまり、心臓に血液が十分に流れなくなって起こる危険な病気で、心筋梗塞、心不全、不整脈などを含む。タバコの喫煙者はこの病気にかかるリスクが高い。

非喫煙者に比べて、一日20本以下のタバコを吸う人の発症率は1.8倍高い。20本以上の喫煙者の発症率は、2.74倍である。

動脈硬化を引き起こす原因のひとつが高血圧。高血圧を引き起こす原因のひとつが喫煙。動脈硬化などが悪影響を与えて発症するのは、虚血性心臓病だけではない。血管が詰まるのは大動脈かもしれないし、脳動脈や腎動脈かもしれない。詰まったり破裂したりする場所によって脳梗塞、脳溢血、大動脈破裂などの症状が発生するということだ。

どれもこれも命の危険が高い病気であり、喫煙によってその発症率を2倍も3倍も高めている。一日60本も吸い続けていれば、5倍も6倍も高くなっていたのかもしれない。

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